環境関連法の解説

 

環境基本法(1993年公布)

(目的)
 環境の保全について基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者、国民の責務を明らかにし、環境の保全に関する施策の基本事項を定め、環境保全施策を総合的・計画的に推進することにより、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活を確保するとともに人類の福祉に貢献する。
(内容)
 法16条に大気・水質・地下水・土壌・騒音・ダイオキシン類に係る環境基準を設定

 

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(1971年公布)

(目的)
 特定工場の公害防止組織の整備を図り、組織的に公害の防止に取り組む。
(内容)
 特定工場には、その種類や規模により、公害防止統括者、主任者、管理者等をおく義務がある。
 公害防止管理者には、大気関係第1〜4種、水質関係第1〜4種、騒音関係、振動関係、粉じん関係、ダイオキシン類関係がある。

 

大気汚染防止法(1968年公布)

(目的)
 ばい煙並びに粉じんの排出等を規制し、国民の健康保護と生活環境の保全を図る。
(内容)
 事業者の責務(ばい煙関連規制)
 @施設の届出等 A事故時の措置 B計画改善命令等 C改善命令 D排出基準の遵守(ばい煙排出基準、上乗せ基準、総量規制基準、指定物質抑制基準、季節による燃料の使用に関する措置、測定及び記録)

 

特定物質の規制等によりオゾン層の保護に関する法律(1998年公布)

(目的)
 オゾン層の保護の為のウイーン条約及びオゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書の実施の確保、特定物質の製造の規制、排出の抑制、使用の合理化の措置を講ずる。
(内容)
 特定物質の製造には、その種類及び規制年度ごとの製造数量について経済産業大臣の許可が必要。
 特定物質を輸出した者は毎年前年の輸出数量を経済産業大臣に届出。

 

特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(2001年公布)

(目的)
 特定製品からのフロン類の回収と破壊の促進に関する指針及び事業者の責務を定め、フロン類回収と破壊の措置を講ずる。
(内容:
 第1種特定製品(フロン類が充填されている業務用エアコン、冷蔵庫、冷凍機器)及び第2種特定製品(フロン類が充填されている自動車用エアコン)からフロン類を回収するものの登録やその破壊をするものの許可について定める。

 

水質汚濁防止法(1970年公布)

(目的)
 公共用水域への排出水及び地下浸透水を規制し、水質の汚濁防止を図る。
(内容)
 対象事業者の責務
 @特定施設の届出 A排出水の排水の制限 B測定及び記録 C排水基準の遵守(排出水規制、地下浸透水の規制、総量規制) D汚染地下水の浄化命令 E事故時の措置 

 

湖沼水質保全特別措置法(1984年公布)

(目的)
 環境基準の確保が緊急に必要な湖沼の水質保全のための事業計画作成、水質汚濁の原因となる施設に対し必要な規制等の特別な措置を講ずる。
(内容)
 対象事業場: @湖沼特定事業場の設置者 Aみなし指定地域特定施設設置者 B指定地域において指定施設を設置する者
 規制項目:化学的酸素要求量(COD)、窒素含有量(N)、燐含有量(P)

 

河川法(1964年公布)

(目的)
 河川の災害発生の防止、適正利用、流水の正常機能の維持、河川環境の整備と保全。
(内容)
 河川の使用制限:河川管理者の許可が必要な行為
 @流水の占用 A土地の占用 B土砂等の採取 C工作物の新築等 D土地の掘削等 E竹木の流送等 F河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為

 

瀬戸内海環境保全特別措置法(1973年公布)

(目的)
 瀬戸内海における特定施設の設置の規制、富栄養化による被害の発生の防止、自然海浜の保全等に関し特別の措置を講ずる。
(内容)
 対象事業場: @関係府県の区域において、工場・事業場から公共用水域に水を排出する者 A関係府県の区域において、指定物質を公共用水域に排出する者 B自然海浜保全地域内で工作物の新築、土地形状の変更、鉱物の採取、土石の採取等を行う者
特定施設の設置許可には事前評価が必要

 

下水道法(1958年公布)

(目的)
 公衆衛生の向上と公共用水域の水質保全のために公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置と管理の基準を定める。
(内容)
 対象事業場: @1日50立方メートル以上の汚水を排出する事業場で A政令で定める水質の下水を排出す事業場 B水質汚濁防止法で定める特定施設を設置した事業場

 

浄化槽法(1983年公布)

(目的)
 浄化槽の設置、保守点検、清掃及び製造について規制し、工事業者の登録、清掃業者の許可制度を定める。
(内容)
 単独処理浄化槽(し尿のみ)の新設を原則禁止とし、合併処理浄化槽(し尿と生活雑排水を合わせて処理)のみ有効。

 

騒音規制法(1968年公布)

(目的)
 工場及び事業所における事業活動や建設工事に伴う騒音について規制を行い、また自動車騒音の許容限度を定める。
(内容) 1.特定施設:設置の届出、規制基準の遵守 2.特定建設工事:工事の届出、規制(特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準) 3.自動車騒音:自動車騒音の大きさの許容限度 4.深夜騒音の規制

 

振動規制法(1976年公布)

(目的)
 工場及び事業所における事業活動や建設工事に伴う振動について規制を行い、また道路交通振動の要請限度を定める。
(内容)1.特定施設:設置の届出、規制基準の遵守
     2.特定建設作業:届出、規制   3.道路交通振動 

 

悪臭防止法(1971年公布)

(目的)
 事業活動に伴って発生する悪臭を規制し、生活環境の保全を図る。
(内容)
 規制地域内の工場、事業場全てが対象であり届出制ではない。
 特定悪臭物質(アンモニア、メチルメルカプタン他の不快なにおいの原因物質22項目)の規制基準では不十分な区域では臭気指数、臭気排出濃度による規制を受ける。

 

工業用水法(1956年公布)

(目的)
 特定の地域について、工業用水の合理的な供給を確保し、地下水水源の保全を図り、地域の工業の健全な発達と地盤の沈下防止に資する。
(内容)
 対象井戸:動力で地下水を採取する揚水機の吐出口の断面積が6cuを超えるもの(複数の場合は断面積の合計)

 

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(1970年公布)

(目的)
 廃棄物の排出を抑制し、廃棄物の分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、清潔にすることにより生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る。
(内容)
 廃棄物排出事業者の責務: 1発生廃棄物の適正処理 2.廃棄物の再生利用等の推進 3.製造、容器等の処理の困難性の評価と処理方法の開発と情報提供 4.国及び地方公共団体の施策に協力 5.多量排出者(前年1000t以上、特管50t以上)は処理計画と実施状況を知事に提出

 

循環型社会形成推進基本法(2000年公布)

(目的)
 基本原則を定め、国、地方自治体、事業者及び国民の責務を明らかにし、基本計画の策定その他の施策の基本事項を定め、循環型社会形成を計画的に推進する。
(内容)
 廃棄物処理の優先順位
 リデュース(発生抑制)→リユース(再利用)→マテリアルリサイクル(再生利用)→サーマルリサイクル(熱回収)→適正処分
 拡大生産者責任(EPR)の一般原則の確立

 

資源の有効な利用の促進に関する法律(2000年改正 旧再生資源利用促進法)

(目的)
 循環型社会形成のため、従来のリサイクル対策(廃棄物の原料への再利用)の強化に加えて、リデュース対策(廃棄物の発生抑制)とリユース対策(廃棄物の部品等への再使用)を導入し、再生資源の利用促進法が改正。
(内容)
 製品対策: 3Rの導入、分別回収のための表示
 副産物(産業廃棄物)対策

 

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(1995年公布)

(目的)
 分別収集及び分別基準適合物再商品化の促進措置を講じて、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通し、適正処理及び資源の有効利用の確保を図る。
(内容)
 事業者及び消費者の責務: 1.繰り返し使用できる容器包装の使用 2.容器包装廃棄物の排出抑制 3.容器包装廃棄物の分別収集 4.分別基準適合品の再商品化に努力する

 

特定家庭用機器再商品化法(1998年公布)

(目的)
 特定家庭用機器廃棄物の収集・運搬・再資源化に関し、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図ることを目的としている。
(内容)
 事業者及び消費者の責務:特定家庭用機器廃棄物(大型家電4品目:テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機)の再商品化が確実に実施されるように、当該廃棄物の収集、運搬業者、又は、再商品化等する者に適切に引渡し、料金の支払いに応じなければならない。

 

建設工事に係る資材の再商品化等に関する法律(2000年公布)

(目的)
 特定の建設資材について、分別解体及び再資源化を促進し、解体業者の登録制度を実施することで、資源の有効な利用及び廃棄物の適正処理を図る。
(内容)
 対象者の責務:一定規模以上の建築物その他の工作物に関する建設工事について、特定の建設資材(コンクリート、アスファルト、木材)の分別解体等により、現場で分別し、解体した廃棄物の再資源化を義務付けリサイクルの推進を行う。

 

食品循環資源の再生利用の促進に関する法律(2000年公布)

(目的)
 食品循環資源の再生利用・食品廃棄物等の発生の抑制・減量の基本的な事項を定める。
食品関連事業者による食品循環資源の再生利用を促進し、資源の有効利用の確保及び廃棄物の排出を抑制する。
(内容)
 対象:食品関連事業者 食品の製造・加工・卸売又は小売業者、飲食店等その他食品の提供を伴う事業者    登録再生利用事業者

 

国等による環境物品等の調達に関する法律(2000年公布)

(目的)
 国、独立行政法人等及び地方公共団体による環境負荷の低減に資する物品・役務(環境物品等)の調達を推進する。
(内容)
 環境物品等に関する情報の提供
 1.事業者による環境負荷の把握に必要な情報の提供  2.環境ラベル等による情報提供  3.国による情報提供及び検討

 

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(1973年公布)

(目的)
 難分解性、かつ人の健康を損なうおそれがある化学物質による環境汚染を防止するために、新規化学物質の製造又は輸入に際し、事前に化学物質の性状を審査する。
(内容)
 1.化学物質の製造輸入前の安全性審査  2.PCBと類似の化学物質の製造、輸入、使用を厳しく規制 
  3.製造、輸入、使用開始後も規制で事後管理

 

特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律(1999年公布)

(目的)
 特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置、並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取り扱いに関する情報の提供についての措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。
 (内容)
 第1種指定化学物質の排出量の把握及び届出 届出対象:対象事業所23業種、従業員数が21人以上、  年間取扱量が1t以上(経過措置中は5t以上) 

 

ダイオキシン類対策特別措置法(1999年公布)

(目的)
 ダイオキシン類による環境の汚染防止と除去のため、基本となる基準や必要な規則、汚染土壌に係わる措置等を定めること。
(内容)
 耐用1日摂取量(TDI)は人の体重1Kgあたり、1pg以下で政令で定める値。
 環境基準の設定:大気排出基準、水質排出基準、総量規制基準の設定 

 

毒物及び劇物取締法(1950年公布)

(目的)
 毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締りを行う。
(内容)
 製造業・輸入業・販売業の登録、特定毒物研究者は知事の許可、業務上取扱者は知事への届出
規制内容: @容器の表示 A運搬・貯蔵等の基準 B取扱施設での紛失・盗難防止措置 C廃棄・回収の方法 D事故時の措置

 

労働安全衛生法(1972年公布)

(目的)
 労働基準法と相まって労働災害の防止のための危害防止基準の確立と責任体制の明確化及び自主的活動の促進により職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成する。
(内容)
 事業者の講ずべき措置等:@危険防止措置 A健康障害防止措置 B作業場等の労働者の健康、風紀及び生命維持のための措置 C労働災害防止措置

 

高圧ガス保安法(1951年公布)

(目的)
 高圧ガスによる災害を防止するために、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱、消費及び容器の製造及び取扱を規制する。
(内容)
 第1種製造者(許可):第1種ガス(不活性ガス)300立方メートル/日以上の製造、第1種ガス以外1000立方メートル/日以上の製造、冷凍能力20トン/日以上(フルオロカーボンは50トン以上)
 第2種製造者(届出):第1種製造者以外の高圧ガス製造事業者

 

消防法(1948年公布)

(目的)
 火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害に因る被害を軽減する。
(内容)
 対象化学物質:危険物(第1〜6類)、 性状と数量によるリスク指定(指定数量) 
 製造、詰め替え、消費、廃棄における取扱・貯蔵・運搬の規制、技術基準、管理基準 

 

自然環境保全法(1972年公布)

(目的)
 自然環境を保全することが特に必要な区域等の自然環境の適正な保全を総合的に推進する。
(内容)
 原生自然環境保全地域(立入禁止区域)における行為制限等
 自然環境保全地域(特別地区、野生動植物保護地区、海中特別地区、普通地区)における行為制限等

 

工場立地法(1959年公布)

(目的)
 工場立地が環境の保全を図り適正に行われるために、工場立地に関する調査を実施し、準則等を公表し、これに基づき勧告、命令等を行う。
(内容)
 適用規模:敷地面積9,000u以上、建築物の建築面積の合計3,000u以上
 緑地20%以上(工業専用地区、工業地区15%以上)緑地及び環境施設25%以上(工業専用地区、工業地区20%以上)

 

エネルギーの使用の合理化に関する法律(1979年公布)

(目的)
 工場、建築物及び機械器具について、エネルギーの使用の合理化に関する処置を講じる。
(内容)
 対象分野:工場、事業場(第1、2種エネルギー管理指定工場)、建築物等
        機械器具 (トップランナー方式)

 

 

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角子行政書士事務所(環境法務専門)